“北杜農業体験会vol.5”を開催しました!

こんにちは!北杜市フードバレー協議会では1月18日(土)に“北杜農業体験会vol.5”を開催しました。
私たちは山梨県北杜市で「儲かる農業」を目標に幅広く農業に携わる活動をしています。このイベントは、農家の仲間を増やし持続可能な農村を繋げるため、また北杜市内で農業を始めたいと考える人たちに『新規就農』を身近に感じてもらいたいと思い取り組んでいます。

5回目となるこの新規就農体験会が掲げるテーマは「有機農業×地域コミュニティ」です。
北杜市では農林水産省が掲げる『オーガニックビレッジ宣言』にも取り組んでいて、有機農業へ取り組む新規就農者も非常に多い地域です。
※北杜市の有機農業の取組面積は100ヘクタール(農水省資料)あるそうです

今日の体験会では、そんな北杜市で地域の慣行栽培の農家さんと協力しながら新規就農し営農をしている有機農家さんをナビゲーターとして開催をしました。

 

〈ナビゲーター紹介〉

以前は都内に暮らすIT関係サラリーマンで、今は北杜市に移住し有機農業に取り組む‘野瀬建さん’と、北杜市明野町で生まれ育ち、同地域の農業者と共に慣行農法で枝豆、大根、ネギなどを栽培している農事組合法人ファームひばりの‘清水一恵さん’がご案内しました。

ファームひばりと野瀬さんのコラム記事はこちらから!→https://hokuto-fv.com/topic/1259/

そんな「有機農業/野瀬さんと地域に根差したコミュニティ/清水さん」のお二人が企画した“北杜市明野町”での体験会の内容を紹介します。

 

1月の北杜市は、早朝は氷点下であり冷たく乾いた北風が吹雪く厳冬期です。けれど、からっと乾燥した晴天の日も多く、当日は山並みが綺麗に映える穏やかな一日でした。

野瀬「本当は来てくれた皆さんに、北杜の厳しい冬と風を体験してもらいたいと思っていたんですが…笑」とナビゲーターも首をかしげていました。
今回の体験会に参加してくれた方は、都内在住者から北杜に移住された人まで合計11名の皆様にお集まりいただきました。

午前中には、まずは実際の作業を体験してもらおうということで、簡単なオリエンテーションの後、野瀬さんが育てる人参の収穫作業から始まりました。

 

野瀬さんの営農は、有機栽培の王道である「少量多品目」のスタイルは取らず、「中量中品目で栽培しており、その中でもメインとなるのは有機JAS圃場での人参です。厳しい北杜の冬の中でも通年で安定した営農・収入を計画できるように、夏撒き・冬採りの人参も作付けしているそうです。

作業の説明をしっかりと聞いたあと、それぞれ人参の収穫に取り掛かりましたが、とにかく地面が冷たい。驚くほど冷たいです。気温は穏やかでしたが、土の下はまだまだ真冬を感じます。そして凍っているのか、人参は踏ん張っても踏ん張っても抜けません。ただ単に人参を引っこ抜くだけの収穫といっても、難しい時期の根気のいる作業でした。

   

ただ、なかなかコツのいる作業でしたが参加者の皆様も就農を目指しているだけあり、あれやこれやと協力したり、ヒントを得たりしながら作業を進めていました。

作業の間にも、新規就農を考える参加者へ野瀬さんの体験談を交えながら相談に乗る場面も見られました。

野瀬「機械の投資や販売戦略は就農の上で必須。今日は体験ということで皆さんに手でニンジンを抜いてもらいましたが、いつもは機械収穫をしています。手で抜くニンジンも、機械で抜くニンジンも店頭に並べば区別はつきません。そうであれば、手で頑張って抜いたニンジンはどこでどのように付加価値をつけて売るのか、それとも機械を入れて収穫コストを下げるのか、考え、そして決断する必要があります。」というような具体的な話もありました。

午前の作業の次は、参加者全員で昼食の準備です。
都会から来る人もいるということで、清水「餅つきをしよう!」と朝早くから準備をしてくれました。

清水「田舎でも餅をつく人が減ってきて寂しいよね。でもうちでやるときは近所の人も来てくれるから冬になったらやりたいよね~」

 

参加者交代で石臼と杵でたくさんの餅をつき、野瀬さんと清水さんが持ち寄った野菜で作った身も心も温まる豚汁で昼食となりました。

みなさんが何故この体験会に参加したのか、どんな仕事をしているかと参加者同士での情報交換もとても活発で、会話が盛り上がっていました。

昼食も済んで、一息ついたところで清水さんと野瀬さんによる縁側トークの時間。野瀬さんと清水さんの出会いや尊重していること、人が減っていく地域を取り巻く現状について、ゆっくり話し始めました。地域のコミュニティや農地を守っていく難しさ、世代も考え方も違う野瀬さんと清水さんの繋がりについて、参加者みんなが思わず聞き入ってしまうような内容を伺いました。体験後の感想にも「野瀬さんと清水さんの関係性がとても理想的に思えた」とあったように、「他所から来た」といっても、対話や理解をすることで築ける人と人の関係性が感じられたと思います。

   

昼食のあとは座談会「先輩農家の失敗から学ぶ農業の始め方」を開催しました。
野瀬「後から何かを始めるのは、先に始めた人の失敗を聞いてからできることがいいところ」ということで、北杜市に移住・就農をした野瀬さんを始めとする先輩農家4名にて自身の失敗や後悔を交えながら新規就農希望者へ向けたアドバイスをしました。

○ご参加いただいた先輩農家の紹介
富岡丈明さん(写真左端):北杜市小淵沢町にて営農。有機JASを取得し露地野菜中心に多品目を作付け。包容力のある人柄にたくさんの人が集まり、それに伴って規模も拡大中。
森田雅彦さん(写真中左):北杜市武川・長坂町にて営農。有機栽培でホウレンソウ一本に絞った周年出荷に取り組む。忙しさに追われ反省がおろそかになりがちな有機農業において、常に実験と改善を繰り返し、進化を続けている。
小澤瞳さん(写真中右):北杜市明野町にて営農。自然栽培で固定種に絞った野菜作りに取り組む。昨年から露地野菜だけでなく水稲でも自然栽培を実践している。自らの実現したい農園のイメージをハッキリと設定し、ひたむき一直線に取り組む姿はたくさんの人からの支援の渦を生んでいる。
※写真右端:ナビゲーター野瀬

たくさんの話が盛り上がり、失敗談だけでなく向き不向きや農業との向き合い方、経営や生活との折り合い、目指す農業とは何か、といった非常に奥深いユニークな話を伺いました。
「失敗なんて積み重ねて当たり前」「自分でやる農業には正解は無い」「下手でも数打ちゃあたる」「農業は年に1回しか失敗できないから、積み重ねが大事」などなど数々の名言が飛び出してきました。

座談会終了後解散となりましたが、まだまだ質問が飛び交い中には先輩農家での研修につながる例も見られました。
昨年度に続き、参加した皆様からも好評な意見を頂き、就農・移住への参考となる体験会になったかと感じています。ご参加いただいた方並びにご協力頂きました皆様本当にありがとうございました。

今後も北杜市フードバレー協議会では、「儲かる農業」を目指し、北杜市の農業を発展させるため新規就農者希望者へ向けたイベントや情報発信にも取り組んでいきます。私たちフードバレー協議会が開催する農業体験会は、就農のリアルな現場や人の声をご参加いただけた方々へお伝えしています。参加しないと聞けない・学べないこともたくさんありますので、北杜市への移住や新規就農をお考えの方は次回ぜひご参加ください。よろしくお願いします!