独立したての新米農家の声

北杜市フードバレー協議会では、農業体験会や1日インターン等さまざまな新規就農サポートを行なっています。それらを活用し、2024年・2025年に独立した2名の新米農家に独立までの流れや独立後の様子、新規就農希望者へのアドバイスなどをお聞きしました。

八北農園柴田 雅央さん(2024年独立)

食べ物をつくることに憧れていて、50歳になったら農業をはじめたいと思っていました。食糧難などに見舞われても自分で生き抜くことができる力を身に付けたいと思ったんです。前の電気関係の仕事が安定していたのでなかなか踏ん切りが付かず51歳になってしまいましたが、最期を迎えた時に後悔しないようにと一歩を踏み出しました。出身は甲府市ですが、生産者が多い北杜市で農業をすることを選びました。

まずは農林大学校の体験会やフードバレー協議会主催の体験会に参加しました。そこで畑山農場のことを知り、「ここには人も情報も集まりそうだし、作業もハードそうだから良い経験になるに違いない」と感じ、畑山さんに弟子入りすることを決意。学校で農作物を育てたり植物生理や農業経営計画などを勉強したりしながら畑山農場にも通い、より実践的なことを学びました。農大はどこの県にでもあるものではないのでしっかり学ぶ場があるのはありがたいですし、研修を受け入れてくださるベテラン農家がいるのも心強かったです。出荷先も畑山さんに紹介していただき、恵まれた環境の中で独立しました。

来年の栽培計画を立てるために、計1ヘクタールの畑で色々な野菜を育てながら何をどこまでやるかを検討しています。工業製品と違って思い通りにはいかず試行錯誤の連続ですが、「少し前まで何も知らなかった自分でも野菜がつくれた!」「自分の野菜を食べたいと言ってくれる人がいる!」といったことに日々感動しながら楽しく働いています。将来的には畑の近くの古民家を買って農業に関する講習や展示会をしたり、妻が勉強している和ハーブや漢方のワークショップをしたりできる場所をつくりたいです。地域の方々に「柴田さんが居てくれてよかった」「地域の助けになった」と感じてもらえるよう、一生働き続けることが目標です。

独立後もわからないことや迷うことがたくさんあり、今も畑山 さんのところに通って、栽培計画や資材のことなどを相談させてもらっています。すごく助かっているので、意識してそういうパイプをつくることは大切だと思います。快く迎えてくれる方ばかりなので、ぜひ思い切って飛び込んでみてください。


北栄やさい工房/北原 竜也さん(2025年独立)

生まれ育った地域で事業をはじめたいという想いがあり、小淵沢に実家の土地もあったので、家族と一緒に土地の強みを活かせる農業に挑戦することにしました。いろいろ調べた結果、約1,000mという標高と土地の広さに合っていたハウストマトの栽培を選びました。フルタイムで働くことが難しい子育て世代やリタイア前の世代の方などが北杜市の魅力に触れながらフレキシブルに働ける場をつくれたら良いなと思っています。また、前職では設計の仕事をしていたので、数字で管理ができて細かい調整が効く施設栽培ならば前職の知識も活かすことができ、自分に合っているのではという想いもありました。

農林大学校で職業訓練を受け、リコペルさんで1年間研修をした後に独立しました。養液栽培の技術を一通り学び、市から新規就農の認定を受け、それを元にハウス建設の資金を調達しました。リコペルさんのご紹介で全量買い取りしてくれる出荷先が決まっていたので、安心して独立できました。

家族とパートの方3名の力を借りながら、約1700平米、9棟のハウスでミニトマトを栽培しています。リコペルの米田社長は独立後も気に掛けてくれていますし、パック詰めをリコペルさんに委託できているのですごく助かっています。また、出荷先の企業から技術指導の方が来て、トマトの苗の様子や数値を見てフィードバックをくださるのでとても勉強になります。おかげさまで思っていたよりも順調にトマトが育っていて、収穫の人手が足りないくらいです。そうした周りのサポートも大変ありがたいですし、同じタイミングでリコペルさんで研修をして独立をした仲間が近くにいるので、お互いの様子を見に行き合って情報共有をできるのも心強く感じています。

野菜は種類がたくさんあり、何を作ろうかと迷う気持ちもあると思いますが、その地域でうまく生産できる野菜は限られています。それ以外のものをつくろうとしてもうまくいかなかったり、周りに教えられる人がいなかったりするので、多品目でスタートした方も徐々に品目が絞られていく傾向にあります。その地域の特徴をよく調べて、それを活かした農業をするのがおすすめです。


あなたも北杜市で農業をはじめてみませんか?
興味のある方は、新規就農相談フォームからお気軽にお問い合わせください。